HOME > 大阪におけるホームレスの人たち
ホームレスの数からみるホームレスの現状について厚生労働省の全国調査による全国と大阪における概数は次のとおりとなっています。
大阪におけるホームレス問題は、1990年ころから目立ち始めたあいりん地区日雇労働者の失業によるホームレス化から始まりました。失業の要因はバブル経済破綻による建設産業不況と建設現場の機械化による仕事の減少です。1998年調査ではほとんどの人があいりん地区生活の経験者でした。
その後、労働者派遣法のネガティブリスト化・期間の延長・製造業務等への解禁等があり、倒産やリストラによる失業者が派遣労働者等として不安定就労化し、新たに野宿生活者とならざるをえない人たちが増えはじめ、全国では2003年に最大数字となりました。その後、あいりん地区の日雇労働者が高齢化等で生保の適用等で減少する一方、日雇労働経験のないホームレスの人達が増え始めました。
2000年から大阪市で自立支援センター事業が開始され、2002年にはホームレス自立支援法の制定があり、2005年から当協議会の事業が始まりました。これらの施策によるホームレスの人達の就労や高齢化による生活保護の適用等でホームレス数は減少してきたと推測されます。
その一方で、07・08年調査によると、ホームレスの長期化・高齢化が浮き彫りになり、併せて、野宿生活が短く、30才以下の若年層も目立つなど、新たにホームレス層の存在が浮かび上がってきました。 インターネットカフェ等で寝泊りする住居喪失不安定就労者の存在が明らかになり始めた時期です。
2008年の秋に生じたリーマンショックによる派遣切り等により、こうした傾向は野宿生活者の増加とともに一気に顕著となりました。09年初めから、自立支援センターは数カ月の入所待ち、住居喪失不安定就労者の相談数が激増しました。
2022年度もまた、新型コロナウイルスの感染対策に翻弄された一年でした。新型コロナは公衆衛生の危機のほか、ホームレス、低所得者、女性、高齢者などの社会的弱者に打撃をもたらし、社会に元々存在した格差を拡大させることにもつながっています。
さて、厚生労働省が毎年1月に実施しているホームレス実態調査によると、国が初めて全国調査を行った平成15年には、25,296人であったものが、3,065人にまで減少しました。但し、大阪府は1,000人を切ったものの888人で依然として全国一位となっています。
あいりん地域においては、ホームレスの平均年齢は65歳を超え、就労できないことによる貧困の拡大、さらに路上生活が10年以上という長期化、そして深刻な社会的孤立が課題となっています。一方、自立支援センターの入居者の平均年齢は46.1歳と比較的低いものの、各種の障がいや依存症などを抱えておられる方もあり、生活面でのサポートとともに「技能講習」「職場体験講習」等の就労支援による就職意欲の醸成の必要性が益々高まっています。
ホームレス問題が複雑化・多様化する中、本協議会としましては、今後とも様々な就労阻害要因を抱える相談者の就労自立に向けたニーズにこたえ、就業支援事業を推進してまいります。